建築用語の定義一覧

法規で定義される建築用語をまとめました。一級建築士試験の法規の試験範囲になります。
"法"は建築基準法、"令"は建築基準法施行令になります。
耐火・防火関係の用語の定義についてはこちらにまとめています。耐火・防火関係の用語の定義

[目次]

建築物

建築物には、建物だけでなく、これに附属する門や塀も含まれます。また、観覧のための工作物や、地下・高架の工作物内に設ける施設も含まれます。ただし、鉄道の線路敷地内の施設やプラットホームの上屋は含まれません。

建築物 法第2条第一号

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上屋、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

特殊建築物

特殊建築物には、専用住宅、事務所以外のほとんどの用途が該当します。法別表1(い)欄に、耐火建築物等としなければならない特殊建築物が規定されています。法別表1(い)欄の(2)~(4)項、(6)項の用途に類似するものとして、令115条の3にも、特殊建築物が規定されています。

特殊建築物 法第2条第二号

学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

建築設備

建築設備には、建築物に設ける消火用のスプリンクラー設備や貯水槽も含まれます。

建築設備 法第2条第三号

建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

居室

居室とは、居住、執務、作業、集会、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のことです。

居室 法第2条第四号

居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

主要構造部

主要構造部は、壁、柱、床、はり、屋根、階段の6種類になります。構造上重要でない最下階の床、屋外階段、間仕切壁、間柱、小ばり、庇、基礎・土台等は主要構造部ではありません。

主要構造部 法第2条第五号

壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

構造耐力上主要な部分

構造耐力上主要な部分とは、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材等で、建築物に作用する力を支えるものです。

構造耐力上主要な部分 令第1条第三号

基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

大規模の修繕・模様替

大規模の修繕・模様替とは、主要構造部の一種以上の過半について修繕・模様替することです。修繕は同じ材料で造り直すことで、模様替は異なる材料で造り直すことです。

大規模の修繕 法第2条第十四号

建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

大規模の模様替 法第2条第十五号

建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

延焼のおそれのある部分

延焼のおそれのある部分とは、隣地境界線、道路中心線、建築物相互の中心線から、1階では3m以下、2階以上では5m以下の距離にある建築物の部分になります。

延焼のおそれのある部分 法第2条第六号

隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500㎡以内の建築物は、一の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線から、1階にあつては3m以下、2階以上にあつては5m以下の距離にある建築物の部分をいう。ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分を除く。

設計図書

設計図書とは、設計図面や仕様書のことをいいます。現寸図は含まれません。

設計図書 法第2条第十二号

建築物、その敷地又は第88条第1項から第3項までに規定する工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。

建築

建築には、建築物の新築、増築、改築、移転が含まれます。修繕や模様替は含まれません。

建築 法第2条第十三号

建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

建築主

建築主 法第2条第十六号

建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

設計者

設計者には、自身の責任において設計図書を作成した者と、構造関係規定に適合することを確認した構造設計一級建築士、設備関係規定に適合することを確認した設備設計一級建築士が含まれます。

設計者 法第2条第十七号

その者の責任において、設計図書を作成した者をいい、建築士法第20条の2第3項又は第20条の3第3項の規定により建築物が構造関係規定(同法第20条の2第2項に規定する構造関係規定をいう。第5条の6第2項及び第6条第3項第二号において同じ。)又は設備関係規定(同法第20条の3第2項に規定する設備関係規定をいう。第5条の6第3項及び第6条第3項第三号において同じ。)に適合することを確認した構造設計一級建築士(同法第10条の2の2第4項に規定する構造設計一級建築士をいう。第5条の6第2項及び第6条第3項第二号において同じ。)又は設備設計一級建築士(同法第10条の2の2第4項に規定する設備設計一級建築士をいう。第5条の6第3項及び第6条第3項第三号において同じ。)を含むものとする。

工事施工者

工事施工者 法第2条第十八号

建築物、その敷地若しくは第88条第1項から第3項までに規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者をいう。

プログラム

プログラム 法第2条第三四号

電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。

敷地

原則として、一つの敷地には一つの建築物となります。用途上不可分の関係にある2以上の建築物については、一つの敷地に複数の建築物により用途をなす場合もあります。

敷地 令第1条第一号

一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。

地階

地階とは、床が地盤面より低く、床面から地盤面までの高さが、その階の天井高の1/3以上となる階のことをいいます。

地階 令第1条第二号

床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のものをいう。

耐水材料

耐水材料 令第1条第四号

れんが、石、人造石、コンクリート、アスファルト、陶磁器、ガラスその他これらに類する耐水性の建築材料をいう。

外壁の後退距離

敷地境界線からの後退距離は、外壁や柱の表面までの距離でみます。外壁や柱の中心線までではありません。

外壁の後退距離 法第54条

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(以下この条及び第86条の6第1項において「外壁の後退距離」という。)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、政令で定める場合を除き、当該限度以上でなければならない。

避難階

避難階とは、直接地上へ通じる出入口のある階をいいます。通常は1階が避難階となりますが、敷地の高低差による複数の階が避難階となる場合もあります。屋上避難用ヘリポートや避難バルコニー設置階は避難階となりません。

避難階 令第13条第一号

(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)以外の階にあつては居室から第120条又は第121条の直通階段に、避難階にあつては階段又は居室から屋外への出口に通ずる出入口及び廊下その他の通路

防煙壁

防煙壁 令第126条の2第1項

法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに、間仕切壁、天井面から50cm以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。

建築基準関係規定

建築基準関係規定とは、建築主事又は指定確認検査機関が確認の審査(建築確認、中間検査、完了検査)をする場合に、審査や検査すべき法令の規定です。建築基準法令の規定(建築基準法、建築基準法施行令、建築基準施行規則等)と建築基準法以外の法令の規定(令第9条第一号から第十六号で定める法令規定等)を合わせたものになります。

建築基準関係規定 法第6条第1項

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

  1. 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの
  2. 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの
  3. 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの
  4. 前3号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成16年法律第110号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

建築基準関係規定 令第9条

法第6条第1項(法第87条第1項、法第87条の2(法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)並びに法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次に掲げる法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令及び条例の規定で建築物の敷地、構造又は建築設備に係るものとする。
一  消防法…
三  港湾法…
四  高圧ガス保安法…
九  宅地造成等規制法…
十二 都市計画法…
十六 特定都市河川浸水被害対策法…

安全上等重要である建築物の部分

安全上等重要である建築物の部分 法第37条

建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号の一に該当するものでなければならない。

安全上等重要である建築物の部分 令第144条の3

法第37条の規定により政令で定める安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分は、次に掲げるものとする。

  1. 構造耐力上主要な部分で基礎及び主要構造部以外のもの
  2. 耐火構造、準耐火構造又は防火構造の構造部分で主要構造部以外のもの
  3. 第109条に定める防火設備又はこれらの部分
  4. 建築物の内装又は外装の部分で安全上又は防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
  5. 主要構造部以外の間仕切壁、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段、バルコニーその他これらに類する部分で防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
  6. 建築設備又はその部分…

特定工程

階数が3以上である共同住宅の2階の床と梁に鉄筋を配置する工事の工程は特定工程にあたります。(法第7条の3第1項、同項第一号、令第11条)

特定天井

特定天井とは、脱落によって重大な危害を生じるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井のことをいいます。(令第39条第3項)

平均地盤面

平均地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さのことをいいます。敷地の平均地盤面は、敷地全体で一つになります。(法第56条の2第1項、法別表第4)