コンクリートの圧送性(ポンパビリティー)
コンクリートの圧送性(ポンパビリティー)とは、コンクリートをポンプで圧送する際、輸送管がコンクリートで閉塞することなく、低圧力で大量のコンクリートを輸送することができるコンクリートの性能を表す用語で、ワーカビリティーの指標一つです。粗骨材の最大寸法、細骨材率、単位セメント量(単位粉体量)、スランプ(スランプフロー)、コンクリート温度などの影響を受けます。コンクリートの粘性が高いほど、輸送管の閉塞は発生しにくいですが、圧送圧力は大きくなります。
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圧送性の評価
圧送性は、閉塞のしにくさと圧送能力と圧送量により評価されます。
閉塞のしにくさを評価する方法は規準化されていませんが、コンクリートの粘性が高い(プラスティシティーが良い)ほど閉塞しにくいため、細骨材率を高くする、単位粉体量を多くする、粗骨材の最大寸法を小さくするなどの対応を取ります。
圧送量と圧送負荷については、「コンクリート標準示方書」や「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」などに経験的なデータが示されており、輸送管内の摩擦抵抗によって生じる圧力の増加量が計算できます。
圧送圧力は、輸送管の長さ、使用するベント管、テーパー管、フレキシブルホースの長さなどから算定します。
圧送負荷
圧送負荷とは、ポンプでコンクリートを圧送する際に、ポンプのシリンダー出口におけるピストン前面にかかる圧力です。
ポンプにかかる圧送負荷は、コンクリートの種類・品質、輸送管の径、配管の状態、吐出量の影響を受けます。圧送負荷は、コンクリートの種類・品質、配管の径、吐出量から得られた水平管1m当たりの管内圧力損失に水平換算距離を乗じて算出します。水平換算距離は、水平管の長さに、上向垂直管、ベント管、テーパー管、フレキシブルホースなどの配管要素を水平管に換算した長さを加算した値です。
「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」に圧送負荷の算定式が記載されています。
\(P\) | :ポンプにかかる圧送負荷\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\) |
---|---|
\(K\) | :水平配管の管内圧力損失\(\mathrm{[N/mm^{2}/m]}\) |
\(L\) | :垂直管の長さ\(\mathrm{[m]}\) |
\(B\) | :ベント管の長さ\(\mathrm{[m]}\) |
\(T\) | :テーパー管の長さ\(\mathrm{[m]}\) |
\(F\) | :フレキシブルホースの長さ\(\mathrm{[m]}\) |
\(W\) | :フレッシュコンクリートの単位容積重量\(\mathrm{[kN/m^{3}]}\) |
\(H\) | :圧送高さ\(\mathrm{[m]}\) |
管内圧力損失
管内圧力損失とは、ポンプでコンクリートを圧送する際に、コンクリートと輸送管との摩擦抵抗により輸送管の長さ当たりで減少する圧力です。輸送管の直径、吐出量、コンクリートの材料・配合、配管条件、気象条件に影響を受けます。特に粘性が大きく影響します。
圧送能力
圧送能力とは、コンクリートを圧送できる能力のことであり、単位時間当たりの最大吐出量と最大圧送距離で示されます。圧送能力は、コンクリートの配合、使用材料、輸送管の径、施工場所の環境条件、気象条件などの影響を受けます。