コンクリートの表面仕上げ
コンクリートの表面仕上げは、外観の美しさだけでなく、コンクリートの耐久性、水密性等の性能を確保する上で重要になります。
特にコンクリート面が露出する打放しコンクリートにおいては、表面仕上げが構造物の性能に直接的に影響を与えます。
[目次]
せき板に接する面の仕上げ
せき板に接する面の仕上げについて、JASS5では以下のように記載されています。
せき板に接するコンクリート表面は、セパレータの頭処理をし、欠陥のない状態とします。コンクリート表面の欠陥には、豆板・空洞・砂じま・コールドジョイント・表面硬化不良・コンクリートの突起や過度の不陸などがあります。これらの欠陥が生じた場合は、構造耐力や耐久性に支障が出ないよう、適切に補修します。
豆板…硬化したコンクリートの一部に粗骨材だけが集まってできた空隙の多い不均質な部分
コールドジョイント…先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートとの間が、完全に一体化していない継目
コンクリート表面を良好な仕上がりとするには、コンクリートの材料・調合・打込み・締固め・養生等とともに、型枠の材料・設計・加工・組立、せき板の表面状態等についても配慮が必要となります。
打上り面の仕上げ
コンクリート表面仕上げについて、コンクリート標準示方書では以下のように記載されています。
コンクリートの締固めを行い、所定の高さ・形にならし、しみ出た水を除去した後にコンクリート上面を仕上げます。木ごてで荒仕上げをした後、必要に応じて金ごてで仕上げるのが一般的です。過度なこて仕上げを行うと、表面にセメントペーストが集まり、収縮ひび割れが発生しやすくなったり、表面にレイタンスができ、すりへりに対する抵抗力が低下する恐れがあります。仕上げ作業後に発生したひび割れは、タンピングや再仕上げによって取り除かなければなりません。
レイタンス…コンクリートの打込み後、ブリーディングに伴い、内部の微細な粒子が浮上し、コンクリート表面に形成するぜい弱な物質の層
タンピング…打ち込んでから固まるまでの間に、その表面をたたいて密実にする作業
滑らかで密実な表面とする場合は、できるだけ遅い時期に、金ごてで強い力を加えて仕上げます。
すりへりを受ける面の仕上げ
水路等のすりへりを受ける面を仕上げる場合は、所要の強度を有するコンクリートを入念に締固め、平らに仕上げた後、一般の場合より長期間湿潤養生しなければなりません。すりへりに対する抵抗性を大きくするには、シリカフューム、鉄粉、鉄細骨材を用いたり、レジンコンクリート、ポリマーセメントコンクリート、鋼繊維補強コンクリート、ポリマー含侵コンクリート等を使用する方法があります。
仕上げ面の検査・不具合処置
コンクリート標準示方書では、仕上げ面の検査項目として、露出面の状態、ひび割れの状態、打継目の状態をあげています。
露出面の状態は、目視によって、露出面が平坦であり、欠け、鉄筋の露出、かぶり不足の徴候、コールドジョイント、豆板、砂すじ、表面気泡等の欠陥がないことを確認します。欠陥が認められた場合は、適切な補修を行わなければなりません。
ひび割れの状態は、目視やクラックスケールによって、ひび割れ幅が許容ひび割れ幅以下であることを確認します。許容ひび割れ幅を超えるひび割れが認められた場合、適切な補修を行わなければなりません。特に塩害を受けるコンクリートの場合は、入念な検査・処置を行わなければなりません。また、マスコンクリートの場合は、温度ひび割れの検査・処置も行わなければなりません。
打継目の状態は、目視によって、打継目において新旧コンクリートの一体性が保たれていることを確認します。
コンクリートのひび割れについてはこちらで解説しています。ひび割れについて