コンクリートのヤング係数

コンクリートのヤング係数Eは、部材剛性を決定する物性であり、部材の変形やたわみ、建物の固有周期の算定に必要になります。また、コンクリートの温度応力や自己収縮・乾燥収縮によるひび割れの危険性の検討においてもヤング係数が用いられます。

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コンクリートのヤング係数の算定式(RC規準)

コンクリートのヤング係数\(E\)は、コンクリートの圧縮強度\(\sigma_{B}\)、コンクリートの単位容積質量\(\gamma\)、粗骨材・混和剤の種類と関係しており、以下の式で算出されます。圧縮強度が高いほど、単位容積質量が大きいほど、ヤング係数は大きくなります。この算出式は、普通コンクリートから高強度コンクリートまで汎用的に使用することができます。また、水中養生や封かん養生した洪試体、コア供試体でもおおむね成立することが知られています。

\[E=k_{1}\times{k_{2}}\times3.35\times10^{4}\times{\left(\frac{\gamma}{2.4}\right)}^{2}\times{\left(\frac{\sigma_{B}}{60}\right)}^{\frac{1}{3}}\]
\(E\):コンクリートのヤング係数\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\)
\(k_{1}\):粗骨材の種類により定まる修正係数
\(k_{2}\):混和剤の種類により定まる修正係数
\(\gamma\):コンクリートの単位容積質量\(\mathrm{[t/m^{3}]}\)
\(\sigma_{B}\):コンクリートの圧縮強度\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\)

粗骨材の種類により定まる修正係数 \(k_{1}\)

粗骨材の種類修正係数 \(k_{1}\)
石灰岩砕石, 焼ボーキサイト1.2
石英片岩砕石, 安山岩砕石, 玄武岩砕石, 粘板岩砕石, 玉石砕石0.95
その他1.0

混和剤の種類により定まる修正係数 \(k_{2}\)

混和剤の種類修正係数 \(k_{2}\)
フライアッシュ1.1
シリカフューム, 高炉スラグ微粉末0.95
混和剤を使用しない1.0

コンクリートのヤング係数の確認(JASS5)

JASS5においては、日本で現在使用されている一般的なコンクリートのヤング係数について示しており、RC規準の算定式における修正係数\(k_{1}\)、\(k_{2}\)を1.0としています。一般的に、セメントや骨材などの材料および打込み・締固め・養生などの施工に問題がない場合、コンクリートのヤング係数は以下の式で算出される値の±20%の範囲内に納まることが知られています。つまり、実測されたヤング係数が以下の計算値の80%未満である場合、材料に問題がある可能性があるため、使用材料の変更や調合条件の見直しを検討する必要があり、工事監理者の承認が必要になります。

\[E=3.35\times10^{4}\times{\left(\frac{\gamma}{2.4}\right)}^{2}\times{\left(\frac{\sigma_{B}}{60}\right)}^{\frac{1}{3}}\]
\(E\):コンクリートのヤング係数\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\)
\(\gamma\):コンクリートの単位容積質量\(\mathrm{[t/m^{3}]}\)
\(\sigma_{B}\):コンクリートの圧縮強度\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\)