埋込み形式柱脚
埋込み形式柱脚は、鉄骨柱下部を基礎コンクリートに埋め込む形式です。コンクリートによる柱脚の固定度が大きいため、固定柱脚とすることができます。鉄骨柱の埋込み深さと、鉄骨柱に対するコンクリートのかぶり厚さを十分確保することが重要です。
埋込み形式柱脚の仕様規定についてはこちらで解説しています。埋込み形式柱脚の仕様規定について
[目次]
応力伝達メカニズム
鉄骨の曲げモーメントとせん断力は、コンクリートに埋め込まれた部分の上部と下部の支圧により伝達されます。軸力については、ベースプレートから直接基礎へ伝達されると考えることができます。
破壊モード
埋込み形式柱脚の代表的な破壊モードは以下になります。1~3の破壊は耐力低下が急激で、塑性変形性能が低いため、設計的配慮が必要になります。1、2の破壊に対しては、鉄骨柱の埋込み深さを大きくとり、コンクリート表面付近での支圧応力度を小さくすることが耐力の向上に有効です。2の破壊に対しては、埋込みコンクリート表面での鉄骨柱の局部変形を防止するため、コンクリート充填やダイヤフラムによる補剛を行う方法もあります。3の破壊に対しては、鉄骨柱に対するコンクリートのかぶり厚さを鉄骨柱せい程度確保することが有効ですが、鉄骨柱によるパンチングシアに抵抗するよう補強筋を設ける方法もあります。
- 鉄骨柱からの支圧力による埋込みコンクリート表面付近の圧壊
- 鉄骨柱の板要素の面外変形
- 鉄骨柱前面のコンクリートのパンチングシア破壊
- 鉄骨柱の曲げ降伏
埋込み深さ
埋込み深さを鉄骨柱せいの2倍程度とすると力の伝達が良く、柱材端降伏とすることができるといわれています。限界状態設計指針には、適正な埋込み深さ\(d\)として以下の式が記載されています。
\[d{\geqq}\left(2.6+\sqrt{13.52+\frac{5.2{\cdot}h^2{\cdot}D{\cdot}F_c}{_cM_{pc}}}\right)\frac{_cM_{pc}}{h{\cdot}D{\cdot}F_c}\]\(d\) | :埋込み深さ\(\mathrm{[mm]}\) |
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\(h\) | :柱のの内法高さ\(\mathrm{[mm]}\) |
\(D\) | :柱の幅\(\mathrm{[mm]}\) |
\(F_c\) | :コンクリートの設計基準強度\(\mathrm{[N/mm^{2}]}\) |
\(_cM_{pc}\) | :柱の下端部における全塑性モーメント\(\mathrm{[N{\cdot}mm]}\) |