エトリンガイト
エトリンガイトとは、セメントの水和反応において、アルミン酸三カルシウム(アルミネート相)と石膏、水が反応して生成される水和物です。化学式は、3CaO・Al2O3・3CaSO4・31~33H2Oで表されます。エトリンガイト生成系セメントには様々な種類があり、急結、速硬、高強度、膨張といった機能があり、各種用途に使用されます。
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エトリンガイト系膨張材
エトリンガイト系膨張材は、針状の結晶で成長しセメント硬化体を膨張させるエトリンガイトの性質を利用したものです。コンクリートを膨張させることで乾燥収縮などを相殺しひび割れを抑制する効果があります。
超速硬セメント
超速硬セメントは、短時間で高い強度が得られるよう、ポルトランドセメントのアルミン酸三カルシウムを積極的に使用したセメントです。生成されたエトリンガイトにより初期材齢における強度発現を得ます。材齢が経過し、セメント硬化体中の石膏(サルフェード)や水が少なくなると、六角版状のモノサルフェート3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2Oに変化します。
エトリンガイトの遅れ生成(DEF)によるひび割れ
アルカリを多く含むセメントを用いて蒸気養生したコンクリートが、水分の供給が十分な環境に置かれた場合に、エトリンガイトの遅れ生成による異常なひび割れが発生することがあります。エトリンガイトの遅れ生成によるひび割れ(DEF)の特徴は、硬化後数年を経たコンクリートの内部組織全体に生じる膨張ひび割れであり、ひび割れ部分に大量のエトリンガイトが二次生成されます。主要因は高温養生(70°以上)とその後の湿潤環境であり、副次要因としてアルカリ量の多いセメントが挙げられます。DEFは、アルカリシリカ反応(ASR)と発生状況が類似している点がありますが、高温で蒸気養生された場合に限って発生する点が異なります。