吊り部材の種類の安全係数

建築工事では、足場や荷を吊るためなどにり部材を用います。吊り部材には、スリング(吊り索)やフックなどがあります。また、スリングには、ワイヤロープやチェーンなどがあります。吊り部材によって安全係数が異なるので注意が必要です。

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吊りワイヤロープ

吊りワイヤロープは、吊り足場や荷受け構台などを吊るのに用いるワイヤロープです。人が乗るため安全係数は10以上と大きい値をとる必要があります。

チェーン(吊り鎖)

チェーンは、吊りフックとリングを組み合わせて荷を吊ります。ワイヤロープに比べて耐熱性に優れているため、温度の高い場所で使用されます。また、耐食性と耐久性にも優れています。

台付けワイヤロープ

台付けワイヤロープは、荷を縛って荷台などに固定するのに用いるワイヤロープです。ワイヤロープの先端が台付け作業用に加工されています。

玉掛けワイヤロープ

玉掛けワイヤロープは、荷を吊り上げるのに用いるワイヤロープです。ワイヤロープの先端が吊り荷作業用に加工されています。

杭打機・杭抜機の巻上げワイヤロープ

杭打機や杭抜機では、杭を垂直に立たせ、地中に打ち込むために上下させるのに、巻上げワイヤロープを用います。

安全係数

吊り部材の安全係数は、吊り部材の切断荷重の値を、吊り部材にかかる最大荷重で除した値になります。
安全係数 = 吊り部材の切断荷重の値 / 吊り部材にかかる最大荷重
安全係数は、以下の安全率の値以上となるようにしなければなりません。

吊り部材の安全率

吊り部材の種類安全率
吊りワイヤロープ10
チェーン(吊り鎖)・吊りフック
台付けワイヤロープ
玉掛けワイヤロープ
杭打機・杭抜機の巻上げワイヤロープ

また、吊り部材の最大使用荷重(=基本安全荷重、基本使用荷重)は以下の式で算出できます。
最大使用荷重 = 吊り部材の切断荷重の値 / 安全率

ワイヤロープのキンク

キンクとは、ワイヤロープがよじれ、ワイヤのよりが局所的に詰まったり、緩んだりしている箇所のことをいいます。キンクは、外観では直ったように見えても強度的な弱点となるため、ワイヤロープを引張った際、そこで切れる可能性があります。そのため、キンクが発生したワイヤロープは廃棄し、使用してはいけません。